この本では歴史上すばらしい業績を残した20人の偉人のプロフィールを紹介してい
ます。それぞれの地位や職業はさまざまで、スペイン国王もいれば、アメリカ大統領
もいます。画家、音楽家、作家は3人ずつ、哲学者は2人。慈善事業家が1人いま
す。残りの6人は科学者で、物理学者3人、数学者2人、生物学者が1人となってい
ます。ざっと見ただけでは、これらの人々のあいだにはほとんど共通点がないように
思われますが、アスペルガー症候群として知られる、穏やかな形態の自閉症にかかわ
る奇癖に注目すると、類似点がかなり多いことがわかります。現在、これほどまでに
アスペルガー症候群への興味が高まってきた理由は、こうした性癖の一部は、たとえ
奥に隠れていて露見しにくいとはいえ、私たちの誰にでもあるからではないでしょう
か。(序文より)
ミケランジェロ・ブオナローティ
スペイン王 フェリペ二世
アイザック・ニュートン
ジョナサン・スウィフト
ジョン・ハワード
ヘンリー・キャベンディッシュ
トーマス・ジェファーソン
フィンセント・ファン・ゴッホ
エリック・サティ
バートランド・ラッセル
アルバート・アインシュタイン
ベーラ・バルトーク
シュリニヴァーサ・ラマヌジャン
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン
アルフレッド・キンゼイ
シモーヌ・ヴェイユ
アラン・チューリング
パトリシア・ハイスミス
アンディ・ウォーホル
グレン・グールド
ウィーンの小児科医ハンス・アスペルガーは、高度に知的な人々にとって、自閉的
傾向は芸術や科学の分野での成功において非常に重要な要素になる、と考えました。
そしてこの症候群の典型的な特徴である強靭な忍耐力、完璧主義、抽象的思考力の高
さ、また、社会の決まりごとに無頓着で、他人の意見に無関心でいられることのどれ
もが、強みになるばかりか、むしろある種の新しい思考や創造性を発揮する際の必要
条件でもあると信じていました。……この障害に悩む人々が、自分と同じような問題
を抱えながらも、すばらしい能力を発揮できた過去の人々の伝記を読み、勇気と励ま
しを得てくださることを私は期待しています。(序文より)
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