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内容紹介: |
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魔法の怪物、英雄的な戦士、ラブストーリーなどさまざまな要素で構成されるケルト神話は、長い間多くの読者を魅了してきた。ウェールズとアイルランドの中世文学として書き記されたこれらの伝説は、はるか昔から吟唱詩人によって伝承されてきた。ミランダ・オルドハウス=グリーンは、中世写本、芸術作品、碑文などを材料に、ケルト人の世界とその神話を巧みに織り上げている。 |
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アイルランドの英雄「クー・ホリン」、試練を乗り越えて幸福な結婚を勝ち得たウェールズの恋人「キルッフとオルウェン」、妻とその愛人によって裏切られる「スェウの悲劇」、アーサー王とその騎士たちによる「聖杯探究」など、本書を繰れば、これらケルトの超自然の物語に次々に出会うことになる。 |
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本書は、英雄、怪物、女性たち、置かれた環境、異界といったウェールズやアイルランドの神話を詳細に語ると同時に、神話はいかにして、誰によって継承されたかを論じ、またキリスト教化されたヨーロッパで、神話がいかに生き延び、後世にどのような影響を及ぼしたのかも検討している。 |
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本書は、過去の物質文化や考古学などにも精通した著者による、読者への贈り物である。
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著者 |
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ミランダ・オルドハウス=グリーン Miranda Aldhouse-Green |
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英国ウェールズ、カーディフにあるユニヴァーシティ・オブ・ウェールズ・ カレッジ付属「文化・考古学・宗教・伝記文学」大学院センター長、教授(考古学)を経て、現在、ウェールズのカーディフ大学名誉教授。専門は鉄器時代のシャーマニズムと考古学。ケルトの歴史や文化につ いて数多くの著作を発表している。 |
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著書―『ケルトの神々』1986、『ケルト神話・伝説事典』1992、邦訳・井村君江 監訳、東京書籍、2006、『ケルトの神話』1993、市川裕見子訳、丸善ブックス、1997、『ケルトの女神― 戦士、乙女、母』1996、『図説ドルイド』1997、邦訳・井村君江監訳、東京書籍、2000、他。 |
翻訳者 |
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倉嶋 雅人 くらしま・まさと |
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編集者、翻訳家、非常勤講師。1955年、長野県大町市生まれ。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。東京書籍株式会社で編集者を務め、2015年退社。現在、早稲田大学エクステンションセンターで「バラの文化史」、名古屋・中日文化センターと東京・毎日文化センターで「ケルトの歴史と文化」の講座をもつ。 訳書―『ケルト歴史地図』ジョン・ヘイウッド著、井村君江監訳、 東京書籍、2003、『ケルトの木の知恵』ジェーン・ギフォード著、井村君江監訳、東京書籍、2003、他4点。 |
カバー裏表紙より |
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現代の読者に贈る、ケルトの神話・伝説を解説した理想的な案内書ダーナ神族らアイルランドの神々、恐るべき魔族フォモール、最高神ダグザ、戦争の怒りと死の女神モリガン、アルスターの超人的英雄クー・ホリン、その英雄の宿敵コナハトのメイヴ、ウェールズの巨人王ブランとその妹ブランウェン、アルベルスの領主プイス、その妻で馬の女神リアンノン、誕生時にさらわれた彼らの息子プレデリ、花で創られた妻ブロダイウェズに裏切られるスェウ・スァウ・ゲフェス、苦難の末に幸福な結婚を勝ち取るキルッフとオルウェン、アーサー王とその騎士たち、不思議な力をもつドルイドたち、聖杯と魔法の大釜、魔術的怪物たち、聖なる品々、遺跡、風景の資料画像など、テーマ別・ジャンル別に詳細解説 |
目次 |
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日本語版序文 |
井村 君江 |
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序章 |
ケルト人の世界――時間、場所、物的証拠 |
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第一章 |
語られる言葉――神話の創造 |
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第二章 |
神話を紡ぐ者 |
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第三章 |
アイルランドの過剰なる霊 |
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第四章 |
魔法の地 ウェールズ |
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第五章 |
勝者の分け前――神話の英雄 |
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第六章 |
魔法の動物と苛立つ存在 |
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第七章 |
危険な関係――怪物的な女性たち |
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第八章 |
大地と水――霊の逆巻く世界 |
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第九章 |
天国と地獄――楽園と地下世界 |
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終章 |
異教とキリスト教――神話の変容 |